“SPC認証” 国内企業8社でパイロット認証取得
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2025-03-27
“SPC認証” 国内企業8社でパイロット認証取得
~再生プラスチックの適正評価に資する事業所認証始動~
一般社団法人サステナブル経営推進機構(所在地:東京都千代田区、代表理事:壁谷武久、以下、「SuMPO(さんぽ)」)が運営機関を担う「SPC(Sustainable Plastics Certification)認証」について、2025年2月に国内再生プラスチック事業者8社がパイロット認証を取得しました。
SPC認証プログラムは、マテリアルリサイクルに関わるサプライチェーン上の事業者を品質・安定供給・安全・環境の観点から総合的に評価するもので、事業所(工場)に対する認証としてSuMPOが開発中の新たな認証プログラムです。自動車産業をはじめ、良質な再生プラスチック需要が高まるなか、需要者が安心かつ安定して使える再生プラスチック市場醸成への貢献を目指します。
パイロット認証の審査は、SuMPOがSPC認証機関として認定した日本化学キューエイ株式会社によって実施されました。本認証は、2025年度初頭の本格運用開始を目指しています。
事業所名 |
認証カテゴリ |
株式会社近江物産 本社工場 |
成形用再生材料製造 |
石塚化学産業株式会社 関東工場 |
成形用再生材料製造 |
いその株式会社 稲沢工場 |
成形用再生材料製造 |
株式会社大誠樹脂 熊谷工場 |
成形用再生材料製造 |
永興物産株式会社 本社工場 |
成形用再生材料製造 |
株式会社タイボー 輪之内工場 |
再生原料製造 |
株式会社富山環境整備 吉谷事業所 |
再生原料製造 |
大栄環境グループ 三重中央開発株式会社 |
再生原料製造 |
■SPC認証プログラムとは
SPC認証は、再生プラスチック事業者の品質・安定供給・安全・環境に関する管理体制を総合的に評価する第三者認証です。
認証対象は再生プラスチックを製造するマテリアルリサイクルプロセスとし、このプロセスを「再生資源調達」、「再生原料製造」、「成形用再生材料製造」の3つのカテゴリに分け、カテゴリごとの認証基準に照らして評価を行います。
<認証対象と認証カテゴリ>
認証には、「Standard」と「Gold」の2つのレベルを設置し、事業者の取り組みの充実度を評価に反映します。
なお、パイロット認証では、「再生原料製造」と「成形用再生材料製造」のカテゴリについて、認証基準(ver.0)を用いてパイロット審査を行いました (項目の概要は下図参照)。また、SuMPOが策定したSPC認証機関認定基準に照らして認証機関を認定しました。
<SPC認証基準ver.0(パイロット認証版)の概要>
■再生資源の利用をめぐる動向
近年、欧州で自動車*1やプラスチック包装*2の分野について再生プラスチックの利用を義務化する動きが見られるなど、欧州の取り組みが加速しています。
日本においても、2025年2月25日に「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(GX推進法)及び資源の有効な利用の促進に関する法律(資源法)の一部を改正する法律案」*3が閣議決定されました。特に資源法では、再生資源の利用に関する計画の提出や定期報告の義務化および特に優れた環境配慮設計の認定制度の創設等の内容が盛り込まれ、2050年カーボンニュートラルの実現と経済成長の両立(GX)にサーキュラーエコノミーが柱の一つとなって寄与することが期待されています。
■SPC認証開発の背景と目指す姿
こうした動向から再生プラスチック利用のモチベーションが高まる一方で、需要者側の懸念として、品質・安定供給・コスト・含有化学物質など、実際の取引においては多数の課題があります。懸念事項の解消の一歩として、再生プラスチックおよびその供給者が適正に評価されることが求められると考え、SuMPOは、2023年に会員企業である石塚化学産業株式会社、いその株式会社、株式会社近江物産、株式会社タイボーの4社とともに、「SPC認証プログラム」の開発に着手しました。
再生プラスチックの供給側と需要側をつなぎ、品質等の管理基準を明確化することで、供給側の技術レベル向上に寄与し、エンドユーザーが安心して再生プラスチック製品を選択できる環境を整え、資源循環型社会の実現に貢献します。
■パイロット認証の結果と今後の展開
今回のパイロット認証では、国内の再生プラスチック事業者8社を対象に審査が実施され、SPC認証基準(ver.0)の要件を満たす事業者が認証を取得しました。2024年12月の「エコプロ2024」では、パイロット認証の実績や成果の中間報告を実施しています。
パイロット認証の結果をもとに運営体制や認証基準等の改善を行い、2025年度初頭には、本格運用を段階的に開始する予定です。
<SPC認証:これまでの取り組みと今後の展開>
SuMPOは、今後も会員をはじめとするステークホルダーとの共創事業の創出に取り組み、再生プラスチック市場の発展と持続可能な資源循環社会の実現に貢献してまいります。
【注釈】
*1 ELV規則案:「規則発効日から72か月後の月の初日以降に型式認証された自動車に含まれるプラスチックには、ポストコンシューマープラスチック廃棄物由来の再生プラスチックを重量で25%以上含まなければならない(このうち少なくとも25%は使用済み自動車からリサイクルされたプラスチックを含むこと)」第6条1項より
environment.ec.europa.eu/publications/proposal-regulation-circularity-requirements-vehicle-design-and-management-end-life-vehicles_en
*2 包装及び包装廃棄物規則案:「2030年1月1日または実施規則発効から3年後のどちらか遅い方までに、全ての包装のプラスチック部分に包装種類等に応じて定められた最低含有率の再生材(ポストコンシューマー廃棄物から回収)が含まれていなければならない」第7条1項より
www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2024/12/16/sustainable-packaging-council-signs-off-on-new-rules-for-less-waste-and-more-re-use-in-the-eu/
*3 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律及び資源の有効な利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案:本法律では、日本で脱炭素型の経済構造への円滑な移行を推進するため、成長志向型カーボンプライシング構想の具体化に加え、GX推進の柱の一つとなるサーキュラーエコノミーの実現に向けた制度の基盤整備が盛り込まれている。
www.meti.go.jp/press/2024/02/20250225001/20250225001.html